投稿日:2025-09-06

偏見が撮影文化を壊すとき 〜 撮り手を一括りにする認知バイアスを考える

見た目や印象だけで人を切り捨てる社会のクセ

「撮り鉄」のマナーの悪さが度々SNSで取り上げられるのですが、そのようなニュースやポストを見た時に「ちょっとそれおかしいな…」と思う過剰な発言もよく目にします。

そのような事例を見かけた時、どのような認知バイアスがかかりやすいかをまとめてみました。

例:

など…

用語説明:


バイアスの問題点は、短時間で結論を出す便利さの裏で、誤った判断や固定観念を生み、それが個人や集団への不当な扱いや重大な意思決定ミス、社会的な誤解の定着につながりやすいので、普段から意識して考える必要があります。

撮影者へ:

ほとんどの撮影者はマナーに気をつけ守っていると思いますが、こういったマナー違反が続くと世間の風当たりも強くなり、撮影そのものの継続性が危ぶまれてしまいます。

かと言って強すぎる注意喚起も反発心が生まれやすくなり、自省をするのではなくバレない行動をとるなど、自発的な問題の収束に結びつかないかもしれません。そもそもマナーを知らない可能性もあります。

自分たちにできることは(マナーを知っている)先輩として後ろ姿を見せ、優しく導くことと思うのですが、どうでしょう。


バイアス名

意味

具体例

対処法

顕著性バイアス(Salience bias)

目立つ情報を過大評価してしまう傾向。

「首からカメラ」の目立つイメージだけで印象を決めている。

目立たない事例(例:スマホ撮影)や母数を確認する。

可用性ヒューリスティック(Availability heuristic)

思い出しやすい事例に基づいて判断しやすいこと。

印象に残る過去の迷惑行為を根拠に全体を判断している。

データや複数事例を参照し、比較検討する。

早計な一般化(Hasty generalization)

少数の事例から全体を断定してしまう誤り。

一部の迷惑行為=すべてのカメラ保持者と結論付ける。

サンプルを広げて反例も探す習慣をつける。

代表性ヒューリスティック(Representativeness)

ある特徴が集団の典型と誤認する傾向。

「撮り鉄=マナー悪い」と図式化する。

個別の事情を確認し、類似性=原因ではないことを意識する。

基本的帰属の誤り(Fundamental attribution error)

行動を性格に結び付け、状況要因を見落とす傾向。

「カメラを持っている=性格や本質が悪い」と決めつける。

状況(撮影目的・場所・時間)を想像してみる習慣を持つ。

確証バイアス(Confirmation bias)

自分の信念を支持する情報ばかり集める傾向。

カメラマンの悪い例ばかり記憶・引用して正当化する。

意図的に反証を探し、逆の証拠にも目を向ける。

ベースレート無視(Base-rate neglect)

全体に対する事象の頻度(母数)を無視する誤り。

盗撮はスマホが多いのに「カメラ=問題」と扱う。

率や頻度(何件中いくつか)を確認する癖をつける。

ステレオタイプ化(Stereotyping)

集団についての固定観念で個人を評価すること。

「撮り鉄含め〜」でカテゴリ全体を一括りにしている。

個人レベルで観察し、カテゴリと個人を切り離す。

ジャンル: 哲学・思想 カテゴリー: 心理学

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