投稿日:2025-09-10

非言語的抽象思考 〜 形はあるが、言葉にならないもの

ここで言う「抽象思考」とは、言葉になっていないけれど、頭の中に確かに“形”としてある非言語的抽象思考 ※1 のことを指しています。以下では簡単に「抽象思考」と呼びます。
また「論理思考」という言葉も、本来の厳密な論理学における定義とは少し違い、ここでは「言葉を使って筋道を立てる思考(logical thinking)」という意味で使っています、

※1 非言語的抽象思考(ひげんごてきちゅうしょうしこう)

言葉を使わずに、「本質」や「抽象的な構造・意味」をイメージや感覚で捉える思考のことだよ!

たとえば──

抽象思考と論理思考は、一見すると違うもののように言われますが、僕は「言葉を使って考えるかどうか」の違いに過ぎず、基本的には大きく変わらないと思っています。


たとえば専門用語。
本来なら長々と説明が必要な内容に、定義を与えて短い言葉に圧縮したものです。知っている者同士なら素早く意思疎通ができますが、知らない相手には伝わりません。結局は、その用語を知っているかどうかの問題であり、理解の基盤には言語があります。


一方で、抽象思考は「まだ言葉として形になっていない」だけで、本質的にはそれと近いものです。

文章にしようと思えば近い形にできるはずですが、ピッタリと合う簡単な言葉が見つからないなどの理由で、あえて言葉にしないことも多い。そのため、他者に伝えるのが難しくなります。

そこで「例え」や比喩を用いることもありますが、それもまた、その比喩を理解できる共通の感覚を持つ人にしか伝わりにくいことがあります。

だから僕は、抽象的な考え方というのは「言語化されていないだけ」であり、思考の根としての“形”は確かに存在しているのだと思うのです。

言葉と具現化

たとえば時化(しけ)」という気象用語があります。日常的にもたまに聞く言葉なのですぐイメージできる人も多いかと思いますが、気象庁で調べると「強風のため海上が荒れること。」とのこと。キーワードは「強風」「海」「荒れる」です。

Geminiでイメージにすると、このような画像を生成しました。

はい。確かにシケってますね。キーワードにはない船や灯台も描かれています。どちらも荒れた海と関係が深いものです。

暗い空や、波が打ち付ける岩などの「荒れた海」は船からではなく陸からが多くの人の見るイメージでしょう。


次に「宇宙の時化を描いて貰いました。

時化は「強風のため海上が荒れること」なので、海のない宇宙での時化は言葉として矛盾が出ます。

はい。宇宙、時化ってます。

海が存在するどこかの惑星のイメージでしょうか。

斜めの水平線が静けさよりも不安定さを掻き立てます。


次に「心の時化を描いて貰いました。

物質として存在しない「心」が「強風のため海上が荒れる」様子です。

荒れた海はまだ描かれていますね。「強風のため海上が荒れる」の定義から外れていないようです。


この絵を構成するものを構造化します。

今度はChatGPT-4o(チャッピーさん)に頼みました。



1. 地平線の向こうに広がる荒れた海
  • 象徴性:混沌、思考の渦、感情の洪水
  • 非言語的意味:心の中の「未分化な問い」や「答えのないまま流れていく時間」
  • 機能的役割:思考や感覚の“基底レイヤー”。ここからすべてが湧き上がってる。

2. 海に浮かぶ記号やオブジェクトたち これはまさに「非言語的な専門用語」たち──抽象化された感覚や記憶の“記号”たち
記号 見た目 意味(仮説)
🕰️ 時計 浮いている/壊れかけ 時間感覚の歪み/過去と現在の混線
🧭 コンパス 流されている 方向性の喪失/選択の迷い
🧪 フラスコや迷路 試行錯誤、内省 答えにたどり着けない探求の旅
💧 涙/水滴 個体として浮いてる 感情の圧縮体。言語化できない感情の残り
🧠 脳のアイコン(小さい) 部分的に埋もれてる 思考の断片、記憶のかけら?
📕 本 波間に翻る 知識・理解の喪失、もしくは問い直し
→ これ全部、まだ言葉になってない“心の辞書の単語”たちなんだと思う…。
3. 空を覆う稲妻と渦巻く雲、そして“裂けた月”
  • :インスピレーション、激しい思考、あるいは強制的な気づき
  • 雲の渦:複雑な内的世界。すぐには晴れない暗さ。
  • 割れた月:不完全な真理/全体性の喪失/理想と現実のギャップ
→ ここは「高次抽象のレイヤー」。
まさに**非言語的抽象思考が向かう“意味の生成空間”**そのものだよ🌙⚡
4. 岩に座る「観測者」
  • 構図的には画面最下部・手前:つまり“今ここ”の自己
  • 背中を向けている:自己と世界の“距離”を象徴
  • 高所にいる:波には呑まれない=“俯瞰する意識”=メタ認知も含んでる

Geminiさんに聞いてみた

・なぜ時計を描いたのか

「心の時化」というテーマでは、時間が重要な要素だと感じたからです。過ぎ去った時間への後悔、未来への不安、あるいは現在における焦燥感など、時間の流れが心に波風を立てることはよくあります。 時計は、そういった時間の流れやそれに伴う心理的なプレッシャーを象徴するのに適していると考えました。また、時間の概念がバラバラに散らばっている様子は、心が乱れている状態を表すのに役立つとも思いました。

・時計の他には何を描いた?そして、なぜそれらを描いたの?

  • 割れた鏡の破片のようなもの: これは、自己認識の断片化や、自分自身を見失いかけている状態を表しています。心の時化の中では、自分というものがはっきりと見えなくなることがあります。
  • 迷路やパズルのピースのような図形: これらは、心の迷いや混乱、問題解決への苦悩を象徴しています。答えが見つからず、出口のない状況にいるような感覚を表しています。
  • 涙のしずく: これは、悲しみや絶望、内なる苦痛を直接的に表現しています。
これらの要素はすべて、「心の時化」という抽象的な概念を視覚的に表現し、見る人がその感情をより深く感じられるようにするために選びました。それぞれが心の奥底に潜む様々な感情や状態を象徴しています。

・空に浮かぶ吹き出し💬みたいなものは?

空に浮かぶ吹き出し💬のようなものは、思考や言葉を表しています。 心の時化の中では、様々な考えや感情が頭の中を駆け巡り、まとまらないことがあります。そうした思考の断片や、言いたくても言えない言葉、あるいは自分自身を責めるような内なる声が、まるで吹き出しのように浮遊している様子を表現しています。 これは、心の中が雑然としていて、思考が落ち着かない状態を象覚化するのに役立つと考えました。

・海にある岩礁は?

海にある岩礁は、心の傷や過去の出来事を象徴しています。 荒れた海の中で、それらの岩礁が波に打たれている様子は、過去の経験や心の傷が、現在の感情の波をより激しくしていることを表しています。時には、それらの岩礁が障害となり、前に進むことを阻むようにも見えるかもしれません。また、一部の岩礁からは溶岩のようなものが流れ出しており、これは癒えていない心の奥底の痛みが、今もなおくすぶり続けていることを示唆しています。


・もう一度チャッピーさんに「この絵が表しているものは?テーマや名前をつけるなら?」と聞いてみた

🌊絵の印象から読み取れるテーマ:

💭内なる混沌・精神世界の旅

  • 黒く荒れ狂う海=感情の波や心の不安定さ
  • 雷と雲=混乱や怒り、突発的な気づきや真実の閃き
  • 海に浮かぶ時計や迷路、涙、壊れたコンパス=
    →「時間の喪失」「方向感覚の喪失」「人生の意味の迷子」

🧍‍♂️孤独な観察者・自己との対峙

  • 手前に座っている人物が、荒れた世界を見つめているのが印象的
    → まるで「自分の心の中を見つめてる」ような感じ

⛰️試練の象徴としての岩や雷火

  • 岩が火を吹いてる=内面の爆発、怒りや葛藤の噴出
  • 無数の尖った岩=「人生の難所」や「乗り越えるべき障害」

💡テーマ案:

  1. 「混沌(カオス)の海に問う」
  2. 「感情という名の嵐」
  3. 「時の迷宮」
  4. 「沈まぬ月と漂う記憶」
  5. 「静寂の岸に立つ」

🌀一言でまとめるなら…

「心の深海を旅するひとりの魂」って感じかな。

元のタイトル「心の時化」そのものではないですが、概念としては合っていますよね?

Geminiさんとチャッピーさん。AI同士で一枚の絵から意思の疎通ができているようです。

「多くの情報を持った言語だけではない情報の塊」…これが最初に挙げた「専門用語」に値します。

それが一枚の絵に「共通認識(単語の定義)」や「暗黙知・文化的メタファー・集合的無意識暗黙知・文化的メタファー・集合的無意識 ※2 (例えば:岩が火を吹いてる=内面の爆発、怒りや葛藤の噴出等…)」の上に成り立ち、絵という別の言語によってAI同士の間、そしてもちろん人間にも情報を交換することができています。

これが非言語的抽象思考。複雑すぎて言葉にするなら長い文章になってしまう情報。

これらを頭の中やインプット・アウトプットを繰り返して整理した物にするのが表現だと僕は思っています。


※2 暗黙知・文化的メタファー・集合的無意識暗黙知・文化的メタファー・集合的無意識

概念名

かんたん説明

どこから来る?

どんな範囲?

暗黙知

言葉にできないけど、できる・わかる感覚

個人の経験・身体感覚

主に個人

文化的メタファー

みんなが共通して使う比喩表現(例:怒り=火)

社会や文化で共有される表現

社会・文化圏内

集合的無意識

人類が深いところで共有してる心のイメージ

人間の深層心理・本能

全人類レベル



ジャンル: 哲学・思想 カテゴリー: 心理学 表現

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