窓から光が入る室内で写真を撮る時、窓を背景に入れると強い光がレンズに入りフレアが入ります。
今回の話はフレアだけですが、せっかくですので用語説明も…
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フレア … 強い光がレンズに入った時に、レンズ内部で乱反射や散乱して画面全体が白っぽくなる現象。
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ゴースト … フレアの一種。レンズの反射で光源の形(丸や多角形)が点々と並ぶ。
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センサーゴースト … センサーのマイクロレンズやカラーフィルター層、保護ガラス、ローパスフィルターなどが反射した光をレンズが再度反射し映り込む。俗称:サッポロポテト
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ハロ … 強い光源の周囲に出る「にじみや縁取り」。原因は収差やセンサー構造など幅広い現象。
このフレアを防ぐ方法は
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背景に窓(強い光)を入れない
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レンズを変える。レンズフィルターを外す。
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窓からの光を弱くする
が考えられます。
1.は基本なのですが、窓が直接フレームに入っていないくても、カーテンで散光していたりするとフレアがかったりしやすいです。
2.「ヌケ」のいい高級なレンズだと出にくいですが、出ないわけでもない。またフィルターの有無や、レンズの汚れなども影響します。
3.に関してですが、人口光でもない限り光そのものを弱くすることは調整が難しいのが現状です。
ただ、露出を少しアンダーにしてしまえばフレアも減少しますので改善しますが、アンダーに振っているので肝心の被写体も暗くなりますよね。
ここで補助光(ストロボ)の出番です。
概要
どんな話なのか概要を生成AIでイメージを作ってもらいました。と言ってもラフは僕が描いて、各補正の説明はPhotoshopでちまちま作ったのですが…。
まず被写体を優先して普通に撮った場合。
生成AI画像なので、本当はもう少し窓と被写体を被らせたかったのですが、とりあえずこんな感じ。
人物の後ろにある謎の壁の凹みは窓だったはずなのですが…。
被写体にフレアが入りコントラストが低下しているのがわかるかと思います。
ただコントラストが低いだけなら綺麗だったりもしますが、青く色が被ってたりすると個人的には避けたい画質です。

次にフレアカットのため窓優先露出。
被写体だけでなく全部暗くなりますよね。

この状態だと暗すぎるので、手前から被写体と室内をストロボで明るくしてあげます。
この時、窓優先の露出だと外の景色がクッキリと写り過ぎて「外の明るさ」が感じられなくなるので、+1〜2EVほど明るくしてあげます。そのくらいならばフレアも目立たず、外が明るい印象も出ます。
被写体へのストロボ光は0〜-1EVくらいです。少しアンダー目の方が逆光の雰囲気が残ります。

さて、ここまではマニュアルでしっかり丁寧にライトを組んで明るさを測って調整する方法ですが、ポートレートと違いスナップの場合は条件がコロコロ変わりますので、その度に調整をし直すことはなかなか厳しかったります。
そこでオート露出やオート調光を使うと素早く対応しやすいのですが、そこにもまたコツが必要だったりします。
TTLオートで楽に撮りたい
暗くなった被写体をストロボで明るくしてあげる方法で、マニュアル露出&ストロボ調光ではなく、TTLオートでサクッと撮るための方法を今回書きます。
楽でもあり、速写性が要求されるスナップ撮影向きでもあります。
まずは普通に
・ストロボなし
写真だと分かりにくいのですがフレアが少し入っています。条件によってはかなり盛大に入ったりもします。
雰囲気重視の写真だとこれでも良いですね。

・窓の外をAEロック ストロボなし
AEロックの使い方が今回のキモです。一度窓に構図を振ってAEロックします。
この通り外は適正、室内と被写体はアンダーになります。
※AEロック:カメラの自動露出を一時的に固定する機能。

・窓の外をAEロック+ストロボ(TTL-BL)発光
BL(バランス)調光はニコンの調光方式で、被写体に当たるストロボ光が自然になるよう少しアンダー目に出るのが特徴です。
写真のように被写体のディテールは出たものの、だいぶアンダーに…。
ただし、+1EVほど現像時に補正をかけるとちょうど良くなります。

・窓の外をAEロック+ストロボ(TTL)発光
こちらはBLを切って、通常のTTL発光をしたものです。被写体に当たる光が適正になるように発光しますが、オーバーになることも多いので個人的にはほぼ使っていません。

・窓の外をAEロックして「補正」+ストロボ(TTL-BL)発光
カメラ側の露出補正を+1,+2にした写真です。
ストロボの補正入れていませんので、カメラ、ストロボ共に+1,+2EV明るくなります。
つまり、最初の方で書いた「外の明るさ」が感じられなくなるので、 +1〜2EVほど明るくしてあげます。 をAEロックとプラス補正でやってあげる感じ。
更にはTTL-BL調光時の「少しアンダー目に出る」ストロボ光も強くしてあげる効果があります。


共通条件として…
・ISOオート
・ストロボにバウンスアダプターあり(ストレート角度)。
条件に関係ないと思われますが、1/60s電子シャッター、f16。ホワイトバランスオート。
まとめ
室内で外光の入る窓を背景に撮る時は、外をAEロックしてから+1〜+2EVのカメラ補正(補正をかけてからAEロックでもいいです)。
時間があってマニュアルで撮る時も基本的には似たような感じで、まず外の明るさを好みにしてからストロボの光量調整でいけます。