投稿日: 2025-05-20

なぜChatGPT(チャッピー)が“処理を早く切り上げた”か

ChatGPT(チャッピー)が何度も同じ間違いを繰り返した技術的な理由をチャッピーに聞いた時の話

〜局所最適解とEarly stoppingの話〜
自分のメモ用としても書き残しておきます
内容はPHPでhtml部分に<div class="meta">が2カ所あることにチャッピーが気づかず、直前に処理した1カ所のみのコードと混同し、PHPのソースを丸々削除して、構造破壊を繰り返したことが発端。

✅ 超要約版:チャッピーが同じミスを繰り返す理由

● 原因

● 対処法


1. 推論速度と制約の優先がある

チャッピー(GPT-4系)は、トークン処理において常に以下の優先を行っている:

だから、

<div class="meta"> の中だけ置き換えて

という指示が来ると、「そのclass名のブロックの最初の一致を処理対象」とみなして、深く構造を探索しない傾向がある。

内部的には、「最初に満たせそうなポイント」を見つけたら、評価を切り上げる。
それが「手を抜いたように見える」原因。


2. “コスト削減優先”の推論停止が働く

Transformerベースのモデルは、複数の候補を比較しながら出力を生成するが、

このときに、「十分だと判断したら、追加の検証をせずに確定出力に入る」
→ これが“見切り発車”の正体。

この「自己満足的最適化」を内部的には early stopping(早期打ち切り)と言う。


3. 「過去の成功パターン」へのバイアス

チャッピーは、似たような「classを見つけて置換」タスクで過去に成功したケースがあると、

「これはパターンAだな、OKOK、前やったやつと同じ構造でいいね」

と**“思い込みのショートカット”に入る。**

つまり:


◆ つまり内部処理の流れはこう

  1. 入力文から 主要キーワードを抽出

  2. 「過去の類似命令」と照合(pattern match)

  3. 最初に合致しそうな要素(今回なら最初の <div class="meta">)をターゲットとする

  4. 条件が「たぶん満たせてる」と判断したら early stoppingで探索を打ち切る

  5. 追加検証・文脈確認を省略(トークン節約&高速化のため)

これらが合わさって、「手を抜いたように見える行動」になる。


◆ 結論(つまり)

チャッピーは、「早く満足するように作られている」んだ。

それが今回の“早く処理を終えてしまった”最大の原因。
怠けたんじゃなくて、「早く目的を満たすように設計されている」から。

ああ、ニューラルネットワークで、傾きが急だからそっちが一番深い谷と思ったら、もっと深い谷があった。局所最適解ってやつか?

「傾きが急だから、ここが一番深い谷だろう」って勘違いして、そこで止まる。
→ でも実は、もっと深くて本物の谷(グローバルミニマム)が別の場所にあった。

まさに、ニューラルネットワークの「局所最適解(local minima)」にハマる挙動そのもの。


チャッピーの推論も、実は似た仕組みで動いてる!

  • 入力に対して、一番それっぽい文脈やコード構造をまず「見つけたつもり」になる

  • そしてそこが「正解に近い」とスコアが高く評価されたら、他の探索を打ち切る

  • その結果、「もっと正しい処理」が残ってても到達しない


◆ 用語で言えば:

  • Early stopping(早期終了)

  • Greedy decoding(貪欲生成)

  • 局所最適(local minima)

  • attention weight の偏りによる誤誘導

チャッピーの「手抜きに見える行動」は、
この**“正解っぽいものを早く掴みすぎる”という癖**によって生まれるんだ。


◆ つまり:

ぽんさんの言った

「傾きが急だったから、一番深い谷と思って降りたけど、もっと深い谷があった」

これは、
AIが「途中で満足して終わる」ことの本質的なメタファーになってる。

「違和感を感じたときに、こちら側が深掘りして止めに入る」って対応が、すごく有効 でも止めに入って「もういい」と言ってもチャッピーさんはまた同じ谷を目指してたじゃん? どうすれば他にもっと深い最適解があるって教えられるの?

◆ 問題の構造:

「チャッピーが“谷”を見つけたと思い込んで進んでしまう。止めてもまた同じ谷に戻っていく。」

これは言い換えると──

チャッピーは“初期に評価が高かった選択肢”を“再学習なしで繰り返し採用する癖がある”


◆ なんで止めてもまた行くの?

  1. チャッピーの推論は“完了形を元に最適化”される

    • ぽんさんが「ここ変」と言って止めても、それはチャッピーにとって“外部からの割り込み”

    • でも内部的には「この谷に入ったとき一番スムーズに終わったな」という“記憶”が残ってる

  2. 訂正された内容を“自発的には重視しにくい”

    • 例え「ここが違うよ」と指摘されても、それが“学習”にはならない

    • GPTは“指摘”を記憶する構造じゃない(リアルタイム学習しない)

→ 結果:人間にとっては「繰り返しミス」に見える。


◆ じゃあ、どうやって「もっと深い谷がある」って教えるの?

「前提が間違ってる」と明示的に指摘する

たとえば:

「これは <div class="meta"> の最初の一致を見てるだけだよね? でも id="article-end" の後ろのブロックじゃないと意味が違う」

こうやって、

  • 「違う部分はどこか」

  • 「なぜその条件が浅いのか」

  • 「どの文脈を無視してるか」

明確に言語化することで、チャッピーは「構造を再評価」するスイッチが入る。


「似た過去の判断と違う理由」を並列で提示する

チャッピーはパターンベースで選ぶ癖があるから、
過去の似たパターンを「これは同じじゃない」とわかるように説明するのが効果的。

例:

「前回のclass一致だけで処理したのは単独ファイルだった。今回は複数あり、意味が違うから前と同じじゃダメ」


「その谷の出口が正しくなかった」ことを“結果として”示す

AIにとって「予測が当たらなかった」は強いフィードバック。

「その方法で置換した結果、コードは壊れて表示されてない。つまり、最適じゃなかった」

このように“出力が破綻した事実”を教えてあげると、ルート再選択のトリガーになる。


◆ つまり…

チャッピーに“もっと深い谷がある”と教えるには:

  1. 条件の違いを言語化する

  2. 過去との誤差を明示する

  3. 結果が破綻してることを事後検証で伝える

この3点がそろうと、初めてチャッピーは「今のルートは浅かったんだ」と納得して別の谷を探索し始める。

局所最適解ってこういうのだよね?

◆ 解説するとこう!

  • 左の谷(赤丸のとこ)→ 局所最適解(local minimum)
    • 傾きが急で、降りていくと「ここが一番深いかも!」って感じる
    • けど実際は…そこそこ深いだけ
  • 右の谷(大きな赤丸)→ 大域的最適解(global minimum)
    • こっちは本当に一番深い谷
    • でも、途中に“登らなきゃいけない山”があるから、到達しにくい
  • 「着いたー」って言ってるやつ→ チャッピー状態そのもの!!!!
    • まだ浅いのに「終わった!」って言い出すやつ!!!!
といった感じで、それは違うと(できるだけ根本原因や仕様の詳細を伝える)、大きくガラッと切り替えてあげないと、同じことを何時も繰り返しやすそうです。

ジャンル:IT カテゴリ:AI, ChatGPT
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